第一章 時及び頻度を表す副詞
[一] 習慣, 頻度(ひんど)などを表す言い方(1)
1. いつも-どんな時でも常に, かわらないようす.
(1) 私は, いつも八時に家を出る.
(2) 人間は, いつも健康(けんこう)でいられるとは限らない.
2. 始終(しじゅう)-いつも, 絶えず, 何かをする.
あるいは, いつも同じ狀態がくり返されるようす.
(1) 父は, 始終文句ばかり言っている.
(2) あの夫婦(ふうふ)は, 始終もめている
3. しょっちゅう-いつも何かをしている意味. いい意味では, あまり使われない.
話し言葉に多く使われる.
(1) 山田さんと安田さんは, しょっちゅうけんかばかりしている.
(2) 父はしょっちゅうお酒ばかりのんでいて, 仕事を全然しない.
4. 絶(た)えず-動作, 作用, 狀態がけいぞくしていることをいう.
(1) 今日は, 朝から絶えず雨が降っている.
(2) 家の前の大通りでは, 夜でも絶えず車が通っているから, よく眠れない.
5. 常(つね)に-いつも, の意味.「いつも」は話し言葉で多く使われるのにたいし,
「常に」は書き言葉として多く使われる.
(1) 健康には, 常に注意をしている.
(2) アメリカ人は, 常に自分の意見を主張(しゅちょう)すると言われている.
6. 年中(ねんじゅう)-いつもいつも, 何かをする, 何かがある狀態.
(1) 南の國には, おいしい果物が年中あるそうだ.
(2) 貧乏(びんぼう)暇(ひま)なしで, 年中はたらいても生活に追(お)われている.
習慣, 頻度(ひんど)などを表す言い方(2)
1. しきりに-同じ事がくり返し起こったり, つづいて起こっているようす.
また, 熱心にくり返すようす.
(1) このごろ, 岡さんがしきりに手紙をくれる.
(2) 彼は女子がくせいにしきりに話しかけるが, 誰も相手にしてくれない.
2. しばしば-何度も, その事が多く行われるようす.
(1) 川端康成(かわばたやすなり)も, しばしばこの本屋に立ち寄(よ)ったそうだ.
(2) 鈴木さんは, しばしば事業に失敗したそうです.
3. たびたび(度度)-物事が何度もくり返されるようす.
(1) あの人は, 仕事で度度イギリスへ行っている.
(2) 山本さんは仕事に度度失敗したので, この間, かいしゃを首になった.
4. たまに-度度ではなく, まれに何かをする, 何かがあること.
「たまにしか」の場合は文末が否定になる.
(1) まいにち忙(いそが)しいですが, たまにえいがを見ます.
(2) あおきさんと, たまにあうことがあります.
5. ときどき(時時)-「たびたび」よりは少ない程度に, 何かをする, 何かがある狀態.
(1) 運動不足なので, 時時運動するようにしています.
(2) 魚をいつもこの店で買うので, 時時サ-ビスしてくれる.
6. よく-何回も, ある事をすること.
(1) 松本さんは, よくディスコへ行って踊(おど)っている.
(2) このかいしゃの株は, よく上がったり下がったりして安定していない.
[二] ある時間の長さを表す言い方
1. しばらく
a. 少しの間, ちょっとの間, の意味
(1) 今こんでいますので, 待合室でしばらくお待ちください.
(2) いくら電話をしても, お話し中です. しばらくしてから,
またかけなおしましょう.
b. 長い間. その間~していない, の意味にも使われる.
(1) しばらくゴルフをしていなかったので,
すっかり下手(へた)になってしまった.
(2) しばらく見ないうちに, お宅のおじょうさんは大きくなりましたね.
【注】「しばらく」の慣用的表現. この言葉は, 久しぶりにあった時に使われる.
(1) しばらくぶりに, 友達にあった.
(2) しばらくですね. この前おあいしたのは, いつでしたか.
(3) 先生, しばらくでございました. おげんきでいらっしゃいましたか.
2. しゅうし(終始)-ある事が行われている間, 初めから終わりまで
同じ狀態がつづくようす.
(1) 花嫁は結婚式の間, 終始ほほえんでいた.
(2) かいぎの間中, 部長は終始無言(むごん)だった.
3. ずっと-初めから終わりまでつづいて, また, 長い間つづけて, の意味. 「終始」はかたい感じがあるのにたいし,「ずっと」は話し言葉として使われる.
(1) だいがくに入ってから, ずっと家庭きょうしのアルバイトをしている.
(2) 今日は電車がこんでいて, 東京から鎌倉までずっと立ちどおしだった.
〔三〕 短時間の後, 何かが起こったり, 何かをしたりする言いかた(1)
1. さっそく-時間をおかずに, すぐに何かをするようす.
人間の意識的な動作に使う. 多少改まった言い方.
(1) 鈴木さんに紹介していただいた病院へ, さっそく今日行ってみました.
(2) この間の私の手紙にさっそくお返事をくださって, ありがとうございました.
2. すぐ-時間をおかないで, 早く何かをするようす, および狀態.
(1) すぐ行きますから, えき前の喫茶店で待っていてください.
(2) お風呂から出ると, すぐに寢室に行って寢てしまった.
【注】かんたんに, たやすく, の意味にも使われる.
(1) 本田先生はすぐ怒るから, がくせいに嫌われている.
3. ただちに-時間を少しも置かないで,すぐに, の意味.
すぐに何かしなければならない理由がある場合に使われる. 改まった言い方.
(1) 急病人が出た場合は, ただちに, 救急車を呼んだ方がいい.
(2) 緊急事態がはっせいしました. みなさん, ただちに外に出てください.
4. たちまち-動作がきわめて短い時間に行われるようす. すぐに, の意味. 話し手の意志が含まれる場合には使われない.
(1) 記念切手はうり出されると, たちまちうり切れになった.
(2) コンサ-トのかいじょうは入場開始と同時に,
たちまちまんいんになってしまった.
短時間の後, 何かが起こったり, 何かをしたりする言い方(2)
(1)の場合より少し時間が長い場合.
1. いまに(今に)-いつか, 近い將來, の意味.
(1) 今に誰でも宇宙(うちゅう)へ行けるようになる.
(2) あのく役所(やくしょ)の不正(ふせい)こういは, 今にみんなにわかるだろう.
2. じき-時間があまりたたないうちに, 物事が行われるようす.
すぐに, まもなく, の意味.
(1) 主人はじきかえると思いますから, もう少し待っていただけませんか.
(2) A「さっきから頭が痛くて仕方がないんです.」
B 「このくすりをのめば, じきに良くなりますよ.」
【注】「じき」の慣用的表現.
(1) もうじき夏休みですね. どこかへ行くけいかくは？
3. そのうち- 近いうちに少し時間がたてばの意味.
(1) そのうち一度遊びに行きたいと思っています.
(2) そのうち雨もやむでしょうから, ここで少し休んでいましょう.
4. まもなく-もうすぐ, の意味. 話題が話し手自信にかんする場合は使われない. 多少改まった言い方.
(1) まもなく一番線に上(のぼ)り電車がまいります.
(2) まもなくインドの首相がソビエトを訪(おとず)れる.
5. もう-もうすぐ, の意味. および何かをしなければならない時を表す.
(1) もうそろそろ電車がくる時間だ.
(2) もう出かけなければ, おそくなる.
6. もうすぐ-短い時間の後に, の意味.
(1) もうすぐクリスマスですね.
(2) この電車はもうすぐ東京えきに着きます.
7. やがて-もうすぐ, そのうち, の意味. 短い時間の後で, 何かが起こる場合. やや改まった言い方.
(1) やがて暖かい春がきます.
(2) 部長もやがておみえになるでしょうから, かいを始めたいと思います.